インターネットの遺産は本当に永遠なのか?
インフォシーク、エキサイト、ジオシティーズ、mixi、Twitterの歴史から考える
2025年7月16日
1990年代後半から2000年代前半にかけて、インターネットは急速に普及し、さまざまなウェブサービスが誕生しました。インフォシーク、エキサイト、ジオシティーズ、そしてSNSのmixiやTwitter(現X)など、多くの人が情報を発信し、つながりを楽しんでいました。しかし、今それらの多くは「消えた」か、かつての姿をとどめていません。
消えたポータルサイトの歴史
● インフォシーク(Infoseek)
1999年に楽天と提携して日本版が誕生。検索エンジンやニュースポータルとして人気を集めましたが、2019年に主要サービスを終了。現在は縮小された形で一部が残っています。
● エキサイト(Excite Japan)
1997年に日本で開始され、ニュース、検索、ブログ、メールなど幅広いサービスを提供。一時はYahoo!に次ぐ存在でしたが、現在はブログや一部サービスのみを維持しており、過去のような賑わいはありません。
● ジオシティーズ(GeoCities)
1997年に日本版がスタートし、個人ホームページの代名詞ともなりました。ですが、2019年3月をもってYahoo!ジオシティーズは終了し、多くのユーザーがアップしていた日記、画像、記録の数々が消滅しました。
SNSの盛衰:mixiとTwitterの対照的な運命
● mixi(ミクシィ)
2004年に登場した日本発のSNS。招待制、ニックネーム文化、日記やコミュニティ、足あと機能など独自の仕組みが人気を博し、2008年頃には国内最大級のSNSに成長しました。しかし、FacebookやTwitterに押され、現在はSNSとしての存在感は希薄になり、主力は「モンスト」などのゲーム事業へ移行しました。
● Twitter(現 X)
2006年に米国でスタートし、2008年頃から日本でも急速に普及。短文投稿というシンプルな仕組みで情報拡散力に優れ、災害時やニュース速報のプラットフォームとしても活用されました。
しかし2022年、イーロン・マスクによる買収後は方針が大きく転換。2023年には「X」へとリブランドされ、仕様変更や規制強化などにより、過去のツイートや画像が閲覧困難になるケースも増えています。
デジタルタトゥーは幻想か?
「一度ネットに上げたら一生消えない」は本当か
近年よく耳にする「デジタルタトゥー」という言葉。一度インターネットに投稿した情報は消せない、という警告ですが、実際にはどうでしょうか?
かつてアップロードした画像やブログ、日記、コミュニティ投稿などは、サービス終了とともに予告なく消失しています。Twitpicやフォト蔵、ジオシティーズなどで消えた思い出は数え切れません。
また、メディアの進化(CD-R→USB→クラウド)やOS(Windows 98/Me/2000など)の変化もあり、保存していたはずのファイルにアクセスできなくなるという現象も珍しくありません。
永遠に残したいなら「自分で守る」しかない
インターネットにアップロードした情報は、必ずしも永遠に保存されるわけではありません。むしろ、多くは静かに、確実に失われていきます。
● 情報を残すためにできること:
- ローカル(PC)とクラウドの二重バックアップ
- 重要なデータは印刷や書籍化して保存
- アーカイブサイト(例:Archive.org(Wayback Machine))の活用
- 自前のWebサーバや分散型ネットワーク(IPFSなど)の検討
終わりに:
デジタルは儚い。だからこそ、記録する意味がある
「ネットに上げたら一生残る」と言われてきた時代。しかし現実には、サービスの終了、時代の移り変わり、企業方針の変更によって、あっけなく消えるのがインターネットの記憶です。
今なおTwitterやmixiに思い出を残している方も、あの日ジオシティーズに書いた文章がもう読めないと気づいた方も、「記録」と「保存」の本当の意味を改めて考えるべき時代に私たちは生きています。