2025年、イランの一部報道や宗教指導者の発言をきっかけに、「イスラエルがオカルト兵器を使っている」という主張が再び話題となっています。ジン(Jinn:イスラム世界で語られる精霊)や護符(タリスマン)、さらには超能力部隊の存在まで報じられていますが、果たしてその真相は? 本記事では、イラン・イスラエル双方の発言や海外メディアの分析を基に、最新の動向をわかりやすく解説します。
イラン側が主張する「オカルト兵器」とは?
報道によれば、イランの政治顧問アブドッラー・ガンジ氏は「イスラエルがジンや魔術を使っている」とSNS上で発言しました。彼は戦闘後、テヘランの路上でユダヤ教のシンボルを含む護符の紙片が見つかったとも述べています(出典:IranWire)。
同様に、一部宗教指導者も「イスラエルは霊的な力を使ってスパイ活動を行っている」と語っており、ジンや呪術を軍事的に利用しているという言説が拡散しました。これらの発言は特に、イラン国内の保守系メディアやソーシャルメディアで大きく取り上げられています。
ユリ・ゲラー氏の“超能力部隊”発言
一方、イスラエル側でも、かつて「スプーン曲げ」で知られた超能力者ユリ・ゲラー氏が、「イスラエルがサイキック部隊を活用してイランと戦った」と語ったと海外メディアが報じました(出典:The Jerusalem Post、Defense Mirror)。
ゲラー氏はこれまでも「意識の力」や「遠隔視」の可能性を語っており、これが「オカルト兵器」論と結びついた形となりました。ただし、彼の発言も科学的な裏付けはなく、象徴的・比喩的な意味合いに留まると見られています。
海外メディアの反応と懐疑的な見方
独立系報道サイト Iran International などによれば、イラン国内ではこうした主張が一部で嘲笑の的にもなっています。特に「護符入り紙片」の報告は、後に軍事演習由来の紙片だった可能性が指摘されました。
また、イスラエル情報機関モサドのペルシア語版X(旧Twitter)アカウントが、イランの“ジン兵器説”に皮肉を込めた投稿を行ったとも報じられています。これは、イスラエル側がこの説を完全に否定していることを示しています。
国際的な軍事アナリストも、これらを「政治的プロパガンダの一形態」と位置づけています。近年の戦争・諜報活動は、AI・電子戦・サイバー攻撃など高度なテクノロジー中心であり、オカルト的説明は科学的根拠を欠くという立場です。
過去から続く“魔術とジン”の物語
実はこのテーマは新しいものではありません。イラン・アラブ圏では、古くから「敵国がジンや魔術を使う」という語りが存在します。Wikipediaによると、イスラエルに対して「魔術を使っている」とする主張は2000年代以降繰り返し現れており、宗教的象徴や国内統合の手段として用いられることもあるとされています。
まとめ:オカルト兵器説は“象徴的プロパガンダ”の側面が強い
現時点で「イスラエルがオカルト兵器を実際に使用している」とする確かな証拠は存在しません。イラン側の主張は、宗教的・文化的象徴を用いた国内向けの政治的メッセージと考えるのが自然です。
とはいえ、このような主張が国際ニュースとして注目されるのは、情報戦や心理戦の一環でもあります。現代の戦争は“物理的な兵器”だけでなく、“物語”や“信念”をめぐる戦いでもあると言えるでしょう。
参考文献:
※本記事は、海外主要報道を基に構成した分析まとめであり、いずれの主張も裏付けが不十分であることを前提にしています。